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『かくれ肥満』は生活習慣病のもと!

内臓脂肪とダイエット

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脂肪率が高いと死亡率も高くなる


 内臓脂肪についた「かくれ肥満」を、なぜ、そんなに気にしなければならないのでしょう?それは健康に悪影響を及ぼすからです。

 脂肪率が25%を超えるあたりから糖尿病、高血圧症、高脂血症、脂肪肝などの生活習慣病の発病率は高まり、30%を超えると明らかに発病率が増加します。標準体重を基準とした場合、肥満者はそうでない人に比べて、糖尿病で5倍、高血圧症で3.5倍、心疾患で2倍の発病率になります。さらに肥満者には大腸ガンや乳ガンが多いこともわかっています。

 これに、体重ではわからない内臓脂肪べったりの「かくれ肥満」を含めれば、さらに生活習慣病の発病率は高くなるはずです。生活習慣病は悪化すると死に至るものも少なくありません。

 脂肪率が高いと死亡率も高いのです。





「かくれ肥満」を防ぐことが生活習慣病の予防につながる


 生活習慣病は、食べ過ぎや飲み過ぎ、運動不足、睡眠不足、ストレスなど悪い生活習慣から生まれます。以前は成人病と呼ばれていて、加齢によって引き起こされる、避けることのできない病気というイメージがありました。しかし、単に加齢とともに起こる病気ではなく、悪い生活習慣を改めれば予防改善できる病気だということが広く認識されるようになったので、生活習慣病と呼ばれるようになりました。

 内臓脂肪型肥満も食生活や運動不足といった、悪い生活習慣がつくり出します。そういう意味でも、生活習慣病と内臓脂肪型肥満は密接なかかわりがあります。

 生活習慣病の多くは、進行すれば命にかかわる病気でありながら、その初期には痛みなどの自覚症状がほとんどありません。病気は静かに進んでいき、危険な状態になるまで本人も周囲も気がつかないケースが多いのです。これも内臓脂肪型肥満と共通する点です。

 生活習慣病は、長年にわたる日ごろの習慣がゆがみとなって積み重なり発生します。予防の決め手は生活習慣なのです。そのために次の7つの健康習慣が提唱されています。

 1.適正な睡眠をとる。
 2.喫煙をしない。
 3.適正な体重を維持する。
 4.過度の飲酒をしない。
 5.定期的に運動をする。
 6.朝食を毎日食べる。
 7.間食をしない。

 いくつ当てはまりますか?このような健康習慣が多いほど、病気が少なく寿命が長くなります。そして実は、これらの健康習慣は、内臓脂肪型肥満の予防法と重なるのです。つまり、内臓脂肪型肥満にならないよう気をつけていれば、生活習慣病も予防できるのです。

 標準体重だからと安心している人こそ、日ごろの生活を振り返ってみてください。そして内臓脂肪型肥満にならないよう生活を改善し、生活習慣病の兆候が現れていないかをチェックしておきましょう。


生活習慣病の特徴と内臓脂肪との関係


 体脂肪率が多いために引き起こされる生活習慣病には、どのようなものがあるのでしょうか。それぞれの病気の特徴と内臓脂肪とのかかわりを解説しています。





高血圧症


 高血圧の怖さが知られるようになりました。健康に対する意識も高まり、最近では血圧を気にして塩分を控える人も増えています。

 心臓のポンプ作用によって、血管に送り出された血液が血管の壁に及ぼす圧力が、血圧です。高血圧とは、その圧力が高くなった状態です。

 高血圧になると、体にさまざまな悪影響を及ぼします。血管にかかる負担が大きくなり動脈硬化を促進し、心筋梗塞や脳出血、脳梗塞を引き起こすほか、心臓肥大、心不全などのリスクも高まります。

 年齢が高くなるにつれて、徐々に血圧が上がるのは体内の脂肪、特に内臓脂肪が増えるためと考えられています。たとえば、中年以降になっても体重の増加が見られない発展途上の国々では、年齢が高くなっても血圧は上がりません。

 脂肪が増えると、脂肪組織にまわる血液量が増加することになります。そのため末梢まで血液が流れにくくなり、心臓のポンプがより強く働かなければ、全身に血液を送ることができなくなるわけです。したがって、心臓に負担をかけることになるのです。

 また、内臓脂肪からは、血圧を上げる物質が分泌されるので、内臓脂肪が多いと、血圧が上がりやすくなります。

 食べ過ぎは肥満の原因となるだけでなく、塩分のとり過ぎにもつながり、その結果、血圧を上げてしまいます。高血圧は食生活だけでなく、睡眠不足やストレス、喫煙、過度の飲酒など、さまざまな生活習慣によって引き起こされます。長い年月をかけてゆっくりと進むため、体が高血圧に慣らされて症状がなかなか出ないので、注意が必要です。


糖尿病


 糖尿病とは、血液中のブドウ糖(血糖)の量を調節するインスリンというホルモンの働きが不足することから、血糖値が異常に高くなってしまう病気です。

 インスリンは膵臓でつくられ血液中に放出されますが、初期の糖尿病患者の血液中のインスリンの量を測ると、正常より高くなっていることがあります。太ったり、食べ過ぎたりすることで、インスリンの働きが悪くなり、膵臓がインスリンをたくさん出すからです。これを『インスリン抵抗性』と呼んでいます。

 肥満と糖尿病には深い関係が見られますが、特に内臓脂肪からは、インスリンの働きを悪くする物質が分泌されるので、インスリン抵抗性を悪化させてしまいます。ですから、内臓脂肪が多い『かくれ肥満』の人も要注意です。

 初期のうちは、食事と運動療法で血糖値は正常まで下がります。ところが、インスリン抵抗性の状態が続いていると、膵臓に負担がかかります。次第に膵臓は疲れてしまい、インスリンを出さなくなってしまうのです。こうなると薬物による治療が必要になります。

 糖尿病はきちんと管理していれば、決して怖い病気ではありません。しかし管理をせずに10年ほど放置すると、恐ろしい合併症を引き起こします。

 糖尿病の三大合併症と呼ばれるのが、網膜症、腎症、神経障害です。網膜症で、年間約3000人が失明しています。腎症状のために末期腎不全に陥り、人工透析をしなければ生命を維持できなくなる人も、年間約7000人ずつ増えています。また神経障害は手足のしびれ、感覚の麻痺、さらに進行すると、壊疽によって足を切断することになるケースもあります。さらに、動脈硬化を促進して、心筋梗塞や、脳梗塞の発生率が高くなります。

 膵臓がインスリンをつくり、十分に働いてくれているうちに、食生活の改善と適度な運動を心がけましょう。


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高脂血症(脂質異常症)


 高脂血症(脂質異常症)とは読んで字のごとく、血液中にコレステロールや中性脂肪など脂が多い状態です。

 コレステロールには、悪玉と善玉の2種類あります。血管などのコレステロールを回収して肝臓に運び、動脈硬化を予防するのが善玉です。しかし、肥満や食べ過ぎで増えるのは、残念ながら悪玉コレステロール。また中性脂肪は脂っこい食事だけでなく、甘いお菓子や果物、アルコールのとり過ぎでも増えます。これらが肝臓で中性脂肪に変えられるからです。皮下脂肪や内臓脂肪などの脂肪組織に蓄えられているのは中性脂肪です。

 高脂血症が怖いのは、動脈硬化の原因になるからです。全身に栄養や酸素を運んだり、老廃物を取り除くといった大切な役割をしている血液は、常にサラサラと流れていなければなりません。しかし、脂肪が増え過ぎたドロドロ血液は、当然、流れが悪くなります。さらに、血管に脂がこびりついて沈着すると、狭くなって詰まりやすくなってしまいます。同時に弾力を失い、脆くなるのです。

 血管がこのような硬くなったゴム管のようになる状態が、動脈硬化です。動脈硬化が進むと、狭心症や心筋梗塞、脳血栓や脳梗塞などを引き起こします。

 以前は、日本人のコレステロール値は、欧米人に比べてはるかに低いものでした。しかし最近は、動物性脂肪たっぷりの食生活になり、コレステロール値は著しく上昇。

 内臓脂肪型肥満の多くの人に、高脂血症が見られます。高脂血症にならないためには、動物性脂肪や糖分の多い食品を控えるとともに、植物繊維や魚をたくさんとるようにしましょう。

 また、適度な運動は、善玉コレステロール増やします。逆に、喫煙は善玉コレステロールを減らすということがわかっています。


脳卒中


 脳卒中とは脳の血管が詰まったり、破れたりすることによって起こる障害の総称で、1980年までは、日本人の死亡原因の第1位でした。その後も常に、死亡原因のトップ3に入っています。

 また、日本はほかの先進国に比べて、脳卒中による死亡率が比較的高いといわれています。さらに、脳卒中の後遺症は、寝たきりになる原因の大きな割合を占めています。

 脳卒中は脳出血と脳梗塞に分けられます。

 突然、脳の血管が破れて出血するのが、脳出血です。出血によって脳の組織が破壊され、死に至ったり、半身不随や言語障害などの後遺症を残します。脳出血は高血圧が原因となって起こることが最も多いため、血圧が高いと30代で発生することもあります。

 血圧が高く、医師から注意を受けている人は、いつ発作を起こして倒れても不思議ではありません。何の前触れもなく突然起こるので、ゴルフ場や風呂場で急に倒れたという話を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。

 脳梗塞は、脳の血管が詰まって血液が流れなくなって生じるもので、動脈硬化によって狭くなった血管が、血栓などでふさがれて起こります。詰まった血管が、栄養や酸素を送っていた脳の部分を壊死させるのです。一度壊死した脳は、二度と再生することはないので、その部分が持っていた機能が失われます。ボケの症状はこのようにして始まるのです。

 脳梗塞と肥満の関係は明らかになっていませんが、ウエストとお尻の比が大きくなるほど、明らかに発病率が高くなります。つまり、内臓脂肪型肥満の人は、脳梗塞に対して注意が必要なのです。


心臓病(虚血性心疾患)


 心臓は全身に血液を送るポンプの役目をしていて、1日に約10万回もの収縮を繰り返しています。心臓への血液の供給が減ったり、途絶えたりすることを虚血といい、狭心症と心筋梗塞を合わせて虚血性心疾患と呼んでいます。

 狭心症は心臓の酸素と栄養が不足すると起こります。心臓のまわりにある冠状動脈という血管から酸素や栄養が運ばれていますが、この冠状動脈に動脈硬化に動脈硬化が起こると、血管が次第に細くなります。そうなると血液が十分に送られず、痛みの発作となって現れます。これが狭心症です。

 もっと動脈硬化が進み、血栓などで冠状動脈が完全にふさがれると、その先の血液が途絶えて、心臓が壊死します。これが心筋梗塞で、心臓に大きな障害が残ります。

 虚血性心疾患の症状は、胸の中央や左胸部、左肩、首、下顎、みぞおちなどに痛みを感じます。締めつけられるような痛みで、狭心症の場合は、数分から10分くらい、心筋梗塞の場合は、数時間続きます。心筋梗塞や重度の狭心症などでは、壊死または重症虚血に陥った部分の心臓の収縮力が低くなり、その範囲が広ければ心臓のポンプ作用までが低下します。その結果、心不全に至ることがあり、非常に危険です。

 この恐ろしい虚血性心疾患は、肥満の人の方が、そうでない人に比べて約2倍も多く発病します。また肥満でなくても、内臓脂肪が多いと冠状動脈に動脈硬化が進んでしまい、発病のリスクが高くなります。心臓病が怖いのは、狭心症になるまで全く症状が出ないことです。

 内臓脂肪型肥満のほかにも生活習慣病が重なると、動脈硬化の危険度は高くなります。高血圧症の人は虚血性心疾患になる危険率が3倍に、高脂血症の人は4倍に、さらに、高脂血症+高血圧症+糖尿病では32倍になる、というアメリカでの研究結果があります。また、喫煙によっても、危険度は高くなります。





脂肪肝


 アルコールやブドウ糖などが、処理能力以上に肝臓に運び込まれると、中性脂肪になって肝臓に蓄積されます。このように、肝臓の脂肪が異常に増加した状態が、脂肪肝です。いわゆるフォアグラの状態で、欧米型の食生活や、お酒の飲み過ぎが原因です。

 脂肪肝は、ほかの生活習慣病と同じように自覚症状がほとんどありません。しかし、放置しておくと、次第に肝臓が変形し機能が低下します。これが慢性肝炎で、全身の倦怠感や不快感を覚えます。また、肝炎になってもなお食生活や飲酒の習慣を改善しなければ、脂肪性肝硬変へと進行し、命にかかわります。

 特に内臓脂肪型肥満の人は、脂肪肝の発生率も高いうえ、肥満の自覚がなく、放置されることが多いので、注意が必要です。脂肪肝は、初期の段階なら、痩せることで簡単に改善することができます。お腹がせり出している人は、食生活の見直しや飲み過ぎを控えて、肝臓の脂肪を減らしましょう。


ガン


 ガンというと、痩せこけたイメージが強いかもしれません。しかし、これは進行してからの話。中には肥満と密接にかかわりのあるガンもあります。つまり、太っているとガンになりやすいのです。

 大腸ガンがその一つ。日本はもともと大腸ガンの少ない国でした。しかし1970年以降、激増しています。戦後、食事の内容が変化し、それまでの日本食から、動物性脂肪が多く食物繊維が少ない欧米型の食生活になったことが、大きな原因と考えられます。

 高脂肪の食べ物に含まれている発ガン物質が便に排泄され、低繊維食のため便秘気味となり、大腸が発ガン物質にさらされる時間が長くなるからでしょう。

 ハワイの日系人の大腸ガン発生率は日本人の倍以上なので、このような欧米型の食事が続くと、さらに増えることが予想されます。

 発症のピークは50〜60歳代ですが、40歳を境に急激に増え始めます。日常の活動度が低い人に多く発生しているので、内臓脂肪型肥満で運動不足の人は気をつけましょう。

 女性のガンの中で最も多く、発生率、死亡率ともにトップの乳ガンもまた、肥満とかかわりがあります。肥満者の発生率が、そうでない人に比べて2倍も多いのです。

 乳ガンも子宮体ガンも肥満との関係が指摘されていて、特に若いころに太っていた女性がなりやすいといわれています。

 乳ガンも子宮体ガンも、肉食中心の食生活を送っている人に多く見られ、増加した脂肪組織が出すホルモンが、ガンを発生させるという説もあります。

 ガンにかかるリスクを低くするためにも、食生活や運動など生活を改善しましょう。


関節障害


 立ったり座ったり歩いたりすることによって、ひざの関節には体重の10倍もの力がかかるといわれています。体重が重いと、それだけひざへの負担も増えるのです。

 骨と骨との間には、クッションの役目をする軟骨がありますが、これが長年の負担によってすり減り、変形性膝関節症になることがあります。すると、正座ができない、椅子から立ち上がるときに痛みがある、ひざが十分に伸びないなどの症状が起こります。このような症状は、更年期過ぎのO脚の女性に多く見られますが、これは女性の方が骨格が細く、筋肉が少ないために、ひざにかかる負担が男性よりも大きいからです。

 若いころに痩せていて、更年期以降に体重が増えた内臓脂肪型肥満の女性は、筋肉が少ないので注意が必要。よく歩いて体重を減らし、足の筋肉を強くすることが効果的です。